第43回愛媛県教育会入選俳句

主催 愛媛県教育会俳句

協賛 愛媛県学校生活協同組合連合会

(募集期間)平成27年8月19日(水)~10月2日(金)

~~入選句は、「文教月報12月号」に掲載しています~~

 

一般の部 (県内在住の成人)投句者32名 投句数64句 

近藤 良郷 先生選

特 選

○ 一草庵夏萩揺るるばかりかな       松山市  山内 久江

(評) 山頭火の一草庵での句。彼は後年放浪俳人と言われた。

その庵の跡には、夏萩が揺れていた。作者が彼の寂しさに触れた一瞬であった。

優 秀

○ 歌好きの母の遺影や蝉しぐれ       今治・越智    渡部 元子

○ 嫁連れて孫島に来る         宇和島   千葉 城圓

佳 作

○ 血圧の下がらぬままや夏初め     伊 予   神野 正憲

○ 夏休み妻は介護に追はれけり     西予市   兵頭  昇

○ 月報に残暑も畳み込み配る      松山市   宮田 頼行

○ 水打つて勤め帰りの子を待ちぬ    八幡浜   谷本 澄子

○ 廃校の母校裏庭糸蜻蛉        今治・越智    森 ユキ子

○ コスモスや吹かれて色を重ねあふ   今治・越智    武田 茂則

○ 秋深し山門に崩ゆる大わらじ     松山市   森田 章夫

○ ふるさとの鉄路一筋彼岸花      宇和島   池田多津子

○ 砂遊び幼児の肩に赤とんぼ      今治・越智    杉浦 幸男

○ 風花や旅立つ棺に筆納め      西 予   村井 理香


吉田  晃先生選

特 選

○ ふるさとの鉄路一筋彼岸花         宇和島   池田多津子

(評) 「一筋」は、作者の思いであり営みである。ふるさとの子供たちを慈しみ育んできた教育人生が鉄路であり、その全てが「一筋」に凝縮されているのである。

優 秀

○ 歌好きの母の遺影や蝉しぐれ    今治・越智   渡部 元子

○ 嫁連れて孫島に来る秋彼岸        宇和島   千葉 城圓

 

佳 作

○ 縫ひ立ての赤い前かけ地蔵盆    四国中央   片岡 照代

○ 表札は息子の代や春迎ふ      八幡浜    谷本 澄子

○ 鳴きやみて飛び立つ蝉の潔さ    東温市    渡部 洋美

○ 廃校の母校裏庭糸蜻蛉       今治・越智     森 ユキ子

○ 廊下には検診待つ子秋の雨     伊 予    藤井 克也

○ まず夫の思い一言年酒酌む          新居浜    永易まるみ

○ 芥川賞読む月鈴子聞こゆ      松山市    森田 章夫

○ 書初めに「前」を選し子の志    西 予    谷岡美奈子

○ 門松の向きなおしては好々爺    西 予    浅野 健一

○ 花よりも花を眺める母を見る    松山市    池田 尊之

 


ジュニアの部 (県内の小・中学生)応募校32校 投句数645句

(校名右の数字は学年)

高山 佳子 先生選

特 選

○ 大声が校舎にぶつかる運動会        青石中二  橋本 愛菜

(評) ぶつかったのが「大声」だなんて愉快。自分、友達、家族、地域の人の声が、校舎も心も揺さぶった感動の大運動会です

優 秀

○ 青い海背泳ぎで見た空も青         道後小四  小田宮一花

○ 大花火声といっしょにちっていく      余土小三  田中 花凛

○ うろこ雲ひいばあちゃんのつえになる   遊子川小三 山本 琉翔

佳 作

○ せみの声朝からつづくコンサート     船木小四  石川 心優

○ はかまいりせんこうあげてごあいさつ   金栄小二  大隆  凛

○ まんまるのきれいなつきとおかあさん   堀江小一  一色 亮佑

○ 流れ星一つ二つの願いごと        和気小四  弓立 海翔

○ 客席の視界をはみ出す入道雲      垣生小五  橋田  樹

○ 梅ぼしを食べる楽しみ一年後      道後小三  田中 美帆

○ クマゼミよおれのねむりをじゃまするな たちばな小五 重松 伶汰

○ なつみかんかごいっぱいのお手つだい  石井北小二  中野 夏樹

○ 曇り空かえるのチャイムで雨がふる   双葉小四  田邨 璃子

○ なつやすみしこくみたいなくもみっけ  姫山小一  前川 大和

○ 昼下がりどこまで続くひつじ雲     東谷小六  宮下 泰暉

○ 秋の空愛犬ひっぱる散歩道       肱川小五  和氣帆乃加

○ 長袖を急いで探す秋日和        喜佐方小五  赤松 海斗

○ カタログで新茶をえらぶお父さん    立間小三  薬師寺晃久

○ 押入れのほこりかぶった麦わら帽    重信中二  田中 俊太

 


池田 尊之 先生選

特 選

○ おとうとにないしょでたべるもものあじ さくら小一 片渕 陽彩

(評) 独り占めしてこっそり食べる桃は甘くて、いつもよりおいしく感じられたことでしょう。「ないしょ」という言葉から「桃の味」のおいしさが一層伝わってきます。

優 秀

○ あさりとりバケツの中でしりずもう   堀江小二  片山 珠吏

○ ぬけたはのまどからとびでたおそうめん 垣生小二  北代 唯愛

○ がっこうまでずっとさかみちつゆのあさ 東谷小一  中野 葉流

佳 作

○ 田うえしてあたりいちめん水かがみ   高津小三  楠橋 東起

○ じいちゃんのおはかでひまわりわらってる 和気小二 山本 竜成

○ たいふうにだいじなプリントさらわれた 余土小一  三好 創哲

○ にじわらう二百球目の大当たり     石井北小五 田頭 一晟

○ 去年より小さく見えるプールかな    双葉小五  居林 怜果

○ おとこたびサーフィンどきどきこうちまで 姫山小一 吉岡 空良

○ あおさはり一面緑の海になる      広田小四  上本 結香

○ 持ち上げた手のその先の稲光る     明神小六  山岡 紅葉

○ 秋の朝上着をとりに帰るぼく      肱川小五  二宮 生

○ どっこいしょおろせばあせのランドセル 立間小二  平山 湊大

○ 兄弟でおニューのつりざお父の日に   中浦小四  菅原 康汰

○ 虫とりあみラケットにかえボール追う  内宮中一  一色 裕人

○ 灼熱に焼け付く跡や終戦日       松山北中一 山本 千紘

○ 弟の勉強手伝う木下闇         重信中一  森本 大陸

○ 練習の汗の分だけ伸びた距離      青石中三  伊藤 優花

(公益財団法人)愛媛県教育会