第47回愛媛県教育会入選俳句

主催 愛媛県教育会俳句

協賛 愛媛県学校生活協同組合連合会

(募集期間)令和元年8月16日(金)~10月3日(木)

~~入選句は、「文教月報12月号」に掲載しています~~

 

一般の部 (県内在住の成人)投句者83名 投句数121句 

吉田 晃 先生選

特 選

○ 生れたる土地で老いゆく盆の月     八幡浜 谷本 澄子

(評) この句には作者の人生が描かれており、それを季語「盆の月」が明確にしている。物心つい  てより先祖の供養を見、やがて自分の手で供養する歳になった。この句の真実を、読み手の体験から読んでみたい。

優 秀

○ 水軍の裔生く島の青蜜柑        松山市  小坂 三国

○ バス待つや片蔭譲り譲られて      松山市  玉井 啓二

佳 作

○ 祖父父の母校にボクも入学す      新居浜市 永易まるみ

○ 花散るや舞踊愛せし妻送る       今治市  金子 敏雄

○ 宿題の一つは夏の蝶を描く       松山市  野尻 精一

○ 爽涼や柔道場の百畳間         松山市  内田 長子

○ 秋耕の己の影に鍬を打つ      松山市    浜田 邦雄

○ 土佐弁のやりとり楽し夏の朝      松山市    猪川 篤美

○ 猫の顔ぐにゃり伸びたる炎暑かな    松山市  砂田 眞吾

○ 鱸漁行き通ふ船の島遥か        松山市  池田 容子

○ 桔梗濃し代代つづく百姓家       松山市  岡田 早苗

○ キャスターの胸に堂々赤い羽根     松山市    高市 範子

 


吉田  博子先生選

特 選

○ 子等去りて独り法師よ浮いて来い    松山市 松澤美那子

(評)お盆の帰省でお孫さんとの触れ合いを満喫した作者。でも子等が去ると孤独感は募るばかり。風呂場に残る可愛い浮き人形(「浮いて来い」)を見るにつけ、独りぼっちの寂しさを強くする作者。季語が絶妙に効いている。

優 秀

○ 紐ゆるむばあばの財布子どもの日  新居浜市 中原 佳子

○ 偲ぶこと多き齢の秋仏間        八幡浜市 谷本 澄子

 

佳 作

◯ 祖父父の母校にボクも入学す      新居浜市 永易まるみ

◯ 無人駅ホーム際まで土筆でる      松山市  野尻 精一

○ 古代蓮開花の音や寺の朝        西条市  渡部 喜生

○ 夜業せる訂正印のそこかしこ      松山市  高須賀眞美子

○ 緋の鼻緒石畳打ち風の盆      松山市  富永 一升

○ 秋耕の己の影に鍬を打つ      松山市    浜田 邦雄

○ バス待つや片蔭譲り譲られて      松山市  玉井 啓二

○ 通学の子らと行き遭う春遍路    松山市  北岡 典子

○ 口笛の半音上がる秋の空      松山市  松本 美紀

○ 身に沁むや子規のいのちの草花図     松山市  岡田 早苗

 


ジュニアの部 (県内の小・中学生)応募校70校 投句数1945句

(校名右の数字は学年)

池田 尊之 先生選

特 選

○ 口開けてだまし絵見入る梅雨晴れ間      北久米小5 仙波麟太郎

(評) エッシャー展を訪れたのでしょうか。騙し絵という素材が面白いですね。「口開けて」で心を奪われている様をうまく表現しました。

優 秀

○ ゆりのはなゆらゆらゆらすうみのかぜ    興居島小2         山中 友樹

○ 霜柱足並みそろうランニング           桑原中2          丹 龍之介

○ 高く舞う騎馬の帽子や秋の空        北伊予中3         岡田 啓佑

佳 作

○ しいそうでおしりがういたはるのそら    長月小1      岡野 楓葵

○  はまぼうふうすなのなかからめをだした   興居島小2      林  世博

○  とおせんぼくものすはっ見草の道      難波小2    長野 葉月

○  つゆはれま遊ぶやくそくして帰る      河野小3     森  伊織

○  夏ぶとん気づけばいつも足もとに     松蔭小3     上村 祐生

○  つりさおが大きくしなる春告魚つり    松山・垣生小4  中矢 銀詩

○  兄帰り家族がそろう夏休み        一本松小4    西村 珀音

○  作りたてにおいも食べるかしわもち       新居浜小5      直野 杏仁

○  とげいっぱい祖父の畑の青きゅうり       味酒小5       塚本 夏樹

○  黒おびをきつく結んだ初げいこ         北久米小5      久保 天路

○  かけごえや以心伝心秋晴れに            中島小6       二宮あかね

○  新涼や朝のコートに優勝旗           新谷小1           永井里世子

○  窓の虹授業とまった二分間              砥部中2          津久井晴大

○  シャツ抜ける大宰府の風夏空             桑原中3          久保 一路

○  金魚藻の奥にも夕日漂えり           中島中3          竿尾  舞

 


池田 尊之 先生選

特 選

○ さんま焼く祖母の手元器出す          久万中1  岡  春伽

(評) 日常のひとこまに家族の温かさを感じさせる句です。「手元」に出せれたお皿は、タイミングよくすっと出されたことでしょう。

優 秀

○ ひまわりとにかいのまどでハイタッチ!     湯築小1  山内 奏乃

○    しちごさんこけしみたいにわらってる     さくら小1  加藤 悠妃

○    先輩のとぎれとぎれの卒業歌         保内中2   梶谷  衛

佳 作

○     さつきばれこれで三かいめルンルンルー  千丈小2    上甲 彩葉

○  プチンパチンかんではじけるマスコット  福音小2     二宮 樹里

○  かみなりでびりびりあるくながいろうか  長月小2   森本 星那

○  くすのきのかげ大きくて秋の風      難波小3   河野蒼太朗

○  父の日やたまねぎトントンカレーライス  松蔭小4      山本 一輝

○  あと二年かつぎ手になる秋の宵      正岡小4    寺澤 和良

○  キラキラのしお水にがい夏の海      粟井小4    戸田 琉七

○  おびゆるむ祭りのにおいにさそわれて  桑原小5     白石  謡

○  すすきの穂みんなでわいわい帰り道   桜井小6   上永 優衣

○  夕立にぬれるコートでねらい打つ    椿小6    石尾 敦司

○  秋の空有効打突の面の声        椿中1    常國 沙愛

○  男四人鴨川の岸月見する        新谷中2   清水 翔世

○  星月夜いつもの本と珈琲と          松山・東中3 木下 陽菜

○  弟の笑顔をエサにカブトムシ      美川中3   中川 翔馬

○  灼熱の日にすり減らずなお進む     河辺中3   富永 一匠